なぜ平成27年度税制改正で法人税は引き下げられるのか?

平成27年度税制改正で、法人税に関する最大の改正点といってもいいのが、法人税率の引き下げです。「消費税や相続税などの税率が上がるなか、なぜ法人税の税率は引き下がるのか?」。こう感じた社長さんは少なくないでしょう。その背景について説明します。

海外各国と比較すると日本はこれ以上法人税を上げられない

平成27年度税制改正で、法人税の税率を現行25.5%から23.9%に引き下げることになりました。平成27年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。中小法人の軽減税率の特例(所得の金額のうち年800万円以下の部分に対する税率:19→15%)の適用期限は、2年延長します。

第二段階として、平成28年度税制改正においても、課税ベースの拡大等により財源を確保して、平成28年度における税率引き下げ幅のさらなる上乗せを図るとのこと。さらに、その後の年度の税制改正においても、法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指して、改革を継続するという方針が打ち出されました。

その背景は法人実効税率(課税所得に対する法人税、住民税、事業税の税率を合計した税率)です。国際比較すると、実は日本は海外各国と比べて法人実効税率が高くなっています。これでは海外の企業が「日本に現地法人をつくって稼いでも、多額の税金をもっていかれる」と、日本でのビジネス展開を縮小・敬遠してしまいます。そのため、法人実効税率が低い香港やシンガポールなどをアジアでの拠点とするケースが増えているのです。

こういった観点から、今後法人税は上げられないというのが現状なのです。今回の税制改正により、日本(東京都ベース)の実効税率は現行の35.64%から33.10%へと2.54%低下します。それによって、フランスの33.33%より低くなります。

内部留保がたまると企業の体力がつき信用性が増す

では、法人税が引き下げられると、企業は何をすべきなのでしょう?

それは、内部留保を蓄えることです。内部留保とは、企業の税引後利益から、配当や役員賞与などの形で社外流出する分を除いた額を表します。内部留保の蓄積は、企業活動のさらなる成長・拡大のための重要な源泉を担うのです。税制改正を機会に企業の体力増強を図りましょう。

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