「ブラック企業の求人、ハローワークで受理しない」から何が起こりうる?

過酷な長時間労働を強要するブラック企業対策を強化するため、厚生労働省は1月5日、残業代不払いなどの違法行為を繰り返す企業の新卒求人を、ハローワークで受理しない制度を創設する方針を固めました。これによって、どのような事態が起こりうるのでしょう?

「ブラック企業」の烙印が審査材料に利用される!?
現在の法律では原則的に「ハローワークはすべての求人申込を受理しなければならない」と規定しています。それだけに、今回の方針転換が与えるインパクトは小さくないとも受け取れます。

「ハローワークで求人の申し込みを受理できない」という事実は、国がブラック企業のレッテルを貼ったも同然です。このことで、次の3者が審査材料に利用する可能性があります。

1.金融機関

社員に残業代を十分に支払わずに売上や利益を計上している事実は、企業の財務内容の信用度が問われます。融資の審査にあたって、好ましい要因とはいえません。判断材料のひとつとして活用される可能性があるでしょう。

2.企業調査会社

企業調査会社は、一般的な財務内容のほかに、企業のアナログ的なマイナス情報を多く入手したがる傾向にあるといわれています。それゆえ、ハローワークによるブラック企業の烙印は、格好の情報。調査項目のひとつに組み込まれる可能性は高いでしょう。

3.求職者

これまで求職者の立場から、応募企業がブラック企業がどうかを確認する手段はほとんどなく、あったとしてもインターネット掲示板等による不確かな情報で知るくらいでした。ハローワークによるブラック企業認定の事実は、確固たる証拠。面接時に「ハローワークで求人をしていますか?」などと質問してくるかもしれません。

また、もともと求人の際にハローワークを利用していない会社に対して、今後は「あの会社はハローワークで求人していないからブラック企業なのでは?」と疑われるかもしれません。

日本労働組合総連合会の「ブラック企業に関する調査」によると、被雇用者の26.9%が「勤務先はブラック企業だと思う」と回答した結果が判明しました。特に20代に絞ると32.7%と相当の高確率。経営者は自社がブラック企業とみなされないために、生き生きとした労働環境を早急に整えることが求められています。

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