ダイエーのイオン完全子会社化から見えた「子への承継」に固執する悲劇
9月24日、大手スーパー・ダイエーの発行済み株式の44.15%を保有するイオンは、ダイエー株主にイオン株を割り当てる、株式交換方式で完全子会社化することを発表。2018年度をめどに「ダイエー」の屋号が消滅します。
1970~80年代は流通業界のリーディングカンパニーとして、その名をとどろかせたダイエー。崩壊の遠因として、多くの専門家や業界関係者は、中内功・元会長の「子への承継」への固執を指摘しています。事業承継の際、親族への承継にこだわり続けると悲劇を招くという、ひとつの事例を示したといえるでしょう。
後継者が経営者の器かどうかを見極めよう
中小企業は、創業オーナーの子等の親族が事業を承継するケースが多いです。もちろん、二代目、三代目社長が会社の業績を拡大した事例はたくさんあります。
一方、二代目、三代目経営者が会社の経営を揺るがしてしまった例も少なくありません。その原因で目立つのは、ダイエーの中内氏と同様に「親族承継への固執」「先代社長の強い『院制』」などです。
子等の親族に事業を承継させる場合、後継者が経営者の器かどうかを見極める必要があります。それは、頭脳の優秀さや仕事の有能さだけでは分かりません。どんなに後継者が頭脳明晰でビジネスの遂行能力があっても、経営者の器がなければ、会社員でいたほうが能力を発揮でき、幸せになれるかもしれないからです。
また、事業承継にあたって不可欠なのは、後継者をサポートする幹部社員。もしこの顔ぶれが、現社長のイエスマンばかりだったら要注意です。中内氏の場合は、息子に跡を継がせたいあまり、他の後継者候補を次々と辞職に追い込み、有能な人材が流出しました。もし、この人材流出がなければ、ダイエーは今とは違った展開になっていたかもしれません。
また、中内氏がダイエー経営の第一線から退いたのは2001年。「時すでに遅し」という評価が支配的でした。息子への承継に執着する一方、実質的に生涯現役という矛盾した状態が、他の有能な人材の成長を阻んでいたという見方ができるのです。
もちろん、流通業界の牽引や流通システムの確立等、中内氏の業界や社会に対する貢献は多大なものがあり、今もなお高い評価を受けています。それだけ大きな功績がある中内氏にとっても、事業承継は一筋縄ではいかなかった一大プロジェクト。「引退なんてまだ早い」と言う社長さんでも、専門家の力を借りて、早めに事業承継の準備に着手することをおすすめします。
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